「ライフ重視」が正義になりすぎていないか。
働くことを軽く見始めた社会で、私たちは何を失っているのか。
「ワークライフバランスを大切に」
そんな言葉をよく耳にするようになりました。
残業を減らし、定時退社を促し、プライベートを充実させる。
一見すると働きやすくなったように見えます。
でも、本当に自分のためのバランスを取れていますか?
もしかすると、それは誰かに押し付けられたバランスかもしれません。
半強制的に広まった「理想のバランス」
「定時で帰ろう」「休日はしっかり休もう」
そんな風潮が広まりました。もちろん、それ自体は悪くありません。
ただ、その裏には見えないプレッシャーもあります。
たとえば、
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遅くまで働く=悪
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仕事に熱中する=空気が読めない
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家庭を優先=良い人
このような一律の価値観が生まれていませんか?
本来のワークライフバランスは、
「自分にとって心地よい働き方と生き方の調和」
であるはずです。
それなのに、社会や企業が“正解”を決めてしまっている現状。
そこに、押し付けられたバランスの問題があります。
時間ではなく、心のバランスを見よう
たしかに、労働時間は短くなったかもしれません。
でも、その分だけ仕事の密度や責任が増していませんか?
チャットも会議も即レス文化。
定時で帰っても、頭の中は仕事のまま。
つまり、時間のバランスが取れても、心が休まらないのです。
「仕事の時間を減らす=ライフが充実する」とは限りません。
むしろ、“表面的なバランス”を守ろうとするほど、心の余裕が失われていくこともあります。
ライフ寄りが正解とは限らない
「ワークよりライフを優先しよう」という流れが強くなっています。
しかし、全員がライフ寄りになってしまったら、
それはもはや“バランス”とは言えません。
ワークライフバランスの“バランス”とは、仕事と生活を50:50にすることではなく、
人それぞれの比重を保つことです。
ライフを充実させたい人もいれば、仕事を通して人生を豊かにしたい人もいます。
そして、今ライフ寄りな人は、むしろ少しワークに寄せた方が心のバランスが取れるかもしれません。
ワークの価値を見失っていないか
会社や社会が「ライフを優先しよう」と言うたびに、
ワークの価値が少しずつ下がっていくように感じます。
働くことは悪ではない。
むしろ、ワークがあるからこそライフが輝くのです。
休日があるから働ける。
働くからこそ、休日の価値が上がる。
この当たり前の循環が、バランスの本質です。
もし、企業がライフ寄りばかりを推進すれば、働く意欲のある人の居場所が減ってしまいます。
「もっと働きたい」「成長したい」と思う人が“空気を読んで”我慢しなければならない社会。
それでは、働きたい人が働けない社会になってしまいます。
そして皮肉なことに、「ワークを減らすこと」が目的になればなるほど、
人は“生きる実感”を失っていくのです。
誰のためのバランスなのか?
考えてみてください。
「ワークライフバランスを取ろう」としているその姿勢は、誰のためでしょうか?
会社のため? 周囲の目のため?それとも、本当に自分のため?
もしあなたが「仕事が生きがい」と感じているなら、無理にワークを削る必要はありません。
逆に「家族との時間を大切にしたい」と思うなら、それを最優先していいのです。
ワークライフバランスとは人それぞれ違っていい。
それなのに、「みんな同じ」が理想とされてしまう。
ここに、現代の“働き方の息苦しさ”があるのです。
バランスは「とる」ものではなく、「決める」もの
本当に大切なのは、誰かに合わせたバランスではなく、自分で選び、決めるバランス。
「どんな働き方が自分に合っているのか」
「どんな時間の使い方が心地よいのか」
その答えは、他人ではなくあなた自身の中にあります。
自分の意志で“心のバランス”を整えること。
それこそが、本来のワークライフバランスではないでしょうか。
おわりに ― 自分のバランスを取り戻そう
「バランスを取らなきゃ」と焦ったとき、いったん立ち止まってみてください。
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誰のためにそのバランスを取っているのか
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その働き方は自分の心を満たしているのか
もし答えがNOなら、今こそあなたのバランスを取り戻すときです。
ワークライフバランスとは、社会が決める理想ではなく、あなたが選ぶ現実。
他人の目ではなく、自分の心に正直に生きる。
それが、これからの時代の“本当の働き方”ではないでしょうか。
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