なにも言わなくても察してやっておけだの、ちょっとは考えてやっておけだのと言うが、そんな“あなたに都合の良い世界”は存在しない。
――これ、職場でこそ痛感する場面、多くないでしょうか。
上司が、先輩が、同僚が、
「これくらい察してよ」
「そのくらい自分で考えなよ」
と当たり前のように言ってくる。
でも、心の中ではこう叫びたくなる。
「いや、それなら最初から言ってくれ……!」
現場はいつもバタバタしていて、時間も人手も足りない。
その中で「察して動く」ことを当然のように求められると、
できなかった側だけが一方的に「気が利かない人」にされてしまう。
でも、本当に問われるべきは、
「なぜ誰も、あなたのために“そこまでしてあげたい”と思わないのか?」
というところだったりするんですよね。
「察して動け」が飛び交う職場のしんどさ
職場には、こんなセリフがよくあります。
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「そのくらい言われなくてもわかるでしょ?」
-
「普通さ、ここまでやっておくもんじゃない?」
-
「ちょっとは先を読んで動けないの?」
言っている本人は、悪気がないことも多い。
むしろ「成長のため」「社会人として当然」と思っている場合すらあります。
でも、言われる側はどうでしょう。
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何が正解かわからないまま責められる
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説明も共有もないのに、結果だけ見てダメ出しされる
-
「空気読めない人」扱いされて、自信を失っていく
ルールの書かれていないテストを解かされているようなものです。
しかもそのテスト、
「あなたの頭の中の正解だけを当て続けろ」
というもの。
それでもし外したら、
「やる気がない」「気が利かない」「まだまだだね」
とダメ出しされる。
……いや、それ、無理ゲーじゃない?
と言いたくもなります。
自分の頭の中だけを基準にする人たち
「察して動け」と言う人は、たいてい自分の感覚をこう信じています。
「自分ならこうする」
「自分は言われなくてもやってきた」
「だからあなたにもできるはずだ」
でも、
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生きてきた環境も
-
教わってきたことも
-
仕事の覚え方も
人によって全然違います。
なのに、自分の物差しだけで他人を測って、勝手に合否をつけている。
これはもう、
「私のために、私仕様で動くのが当たり前」
という前提に立っている状態ですよね。
でも、その前提のままでいる限り、
目の前の人は永遠に「物足りない部下」「気が利かない後輩」のままです。
だって、
あなたの頭の中を完全にコピーしたクローンなんて、存在しないから。
その前に、一つだけ自分に問いかけてみてほしいこと
ここで一つ、きつめだけど大事な問いを置いておきます。
「あなたのためにやってあげたい」と
相手に思わせるだけのことを、
あなたは日常的にやってあげているだろうか?
これ、耳が痛い人もいるかもしれません。
でも、職場でよく見かけるのはこんなパターンです。
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部下に対しては要求ばかり多い
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でも仕事が終わっても「ありがとう」の一言もない
-
残業してフォローしてくれても、「それくらい当然でしょ」という態度
-
ミスのときだけ鋭く指摘し、できたときはスルー
そんな人から、
「お前ら、もっと察して動けよ」
と言われたとき、部下や周囲はどう思うでしょうか。
「いやいや、なんでそこまで気を回さなきゃいけないの?」
「この人のために、そこまで頑張りたいとは正直思えない」
これが本音です。
人は機械ではありません。
「感情」で動きます。
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大変そうだから、少しでも楽にしてあげたい
-
いつも助けてくれるから、自分も先回りして動きたい
-
ちゃんと見ていてくれて、ねぎらってくれるから、期待に応えたい
こういう「関係」があるからこそ、
言われなくても動こうという気持ちが自然と湧いてくる。
逆に、
何をやっても当たり前扱いされ、
ミスをしたときだけ厳しく責められる人のために、
誰が「自分から気を利かせて動こう」と思うでしょうか。
「察してほしい」より先にやるべきこと
もし、あなたが職場で
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部下が全然察して動いてくれない
-
同僚が全然気を回してくれない
-
なんで自分ばかり損な役回りなんだ
と感じているなら、
一度だけ、自分の行動を冷静に振り返ってみてもいいかもしれません。
① 感謝をちゃんと言葉にしているか?
どんな小さなことでも、してもらったことに対して
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「助かったよ」
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「ありがとう」
-
「ここまでやってくれて本当に助かる」
と、具体的に言葉にして伝えているかどうか。
たったそれだけで、
「この人の仕事はちゃんと見てくれている」
「また頑張ろう」
という気持ちが生まれます。
② 負担の偏りを気にかけているか?
仕事ができる人ほど、
「頼めばやってくれる人」に仕事が集中しがちです。
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「あの人なら断らないから」
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「あの人は要領がいいから」
と、どんどん積み上げていないか?
その負担の重さに目を向けているか?
「いつもお願いしてばかりでごめんね」
「今日はこのくらいで切り上げていいよ」
こういう一言があるだけでも、
相手は「大事に扱われている」と感じます。
③ 相手の都合や状況を想像しているか?
「ちょっとは考えてやっておけよ」と言う前に、
あなた自身が、相手の状況に思いを馳せているか?
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その人はいま何を抱えているのか
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どんなプレッシャーの中で仕事をしているのか
-
その仕事を任せることで、どんな負荷がかかるのか
これを想像し、配慮している人の言う「ここだけお願いしてもいい?」は、
不思議と受け入れてもらえます。
「都合のいい世界」はない。でも、「信頼で動く職場」はつくれる
なにも言わなくても察してやっておけだの、
ちょっとは考えてやっておけだのと言うが、
そんな“あなたに都合の良い世界”は存在しません。
「自分のために、誰かが勝手に気を利かせてくれる世界」なんて、本来どこにもない。
でも、
「この人のためなら、少しでも力になりたい」
「言われる前に動いてあげたい」
そう思ってもらえる関係を、
自分のふるまいで積み上げていくことはできるんですよね。
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日常的に感謝を伝える
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頑張りをちゃんと見て言葉にする
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負担を一緒に背負おうとする姿勢を見せる
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ミスではなく成長のプロセスを見ようとする
こういう積み重ねをしている人のもとには、
自然と「察して動いてくれる人」が増えていきます。
最後に:それでも「察してほしい」と思ったときに
それでも、どうしても
「ここは察してほしかったな……」
と感じる場面は出てきます。
そんなときは、
心の中で一度だけこう問いかけてみてください。
「自分はこの人に、
“あなたのためにやってあげたい”
と思わせるだけのことを、日常的にしてきただろうか?」
もし胸を張って「してきた」と言えるなら、
素直にこう伝えてみればいい。
「正直、ここはもう少し気を回してもらえると助かる」
「こういうところまで見てもらえると、すごく心強い」
感情を爆発させるのではなく、
期待していることを言葉にして、共有する。
「察してくれない世界」を呪うよりも、
「言えば伝わる世界」を少しずつ育てていく方が、
あなたにとっても、周りにとっても、ずっと優しい生き方なんだと思います。
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